【医療機関向け】PRP再生医療を用いたAGA治療の活用及び導入について

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厚生労働省の最新資料によると、2026年6月10日時点の再生医療等の治療計画のうち、PRP(多血小板血漿)を用いた計画は3,858件で、種類別では最も多くなっています。また、脱毛症やアンチエイジングを含む「美容・抗加齢等」の治療計画の新規届出数は、2020年度の133件から2025年度には258件へ増加しています。

※厚生労働省 第118回再生医療等評価部会 資料1「再生医療等の提供状況に係る定期報告等の概要について」(令和8年6月22日)

美容クリニックでPRP治療を提供していると、次のような検討課題が出てくることがあります。

「PRP皮膚再生治療に加えて、AGA・薄毛治療にも活用できないか」

「内服薬や外用薬だけではなく、新しいAGA治療メニューを増やしたい」

「PRPによるAGA治療を導入するには、どのような手続きや治療設計が必要なのか」

私は再生医療コンサルタントとして、PRP・幹細胞治療の再生医療等提供計画の申請支援から導入後の運用まで伴走しており、認定再生医療等委員会の委員も務めています。導入支援の現場では、PRPによるAGA治療だけを単独で導入するよりも、PRP皮膚再生治療と同時に導入するケースのほうが多いと感じています。

この記事では、PRPによるAGA治療の作用機序やエビデンス、既存治療との併用、PRP皮膚再生治療との同時導入、PRPキットの選び方、提供計画、料金設計まで、医療機関が導入を検討する際に押さえたいポイントを整理します。

本記事のポイント
  • PRPがAGA治療に活用される作用機序と、論文で示されている効果の範囲
  • 内服薬・外用薬との併用や、PRP単独療法とカクテル療法の違い
  • PRP皮膚再生治療と同時に導入するメリットと注意点
  • PRPキットの選び方、提供計画の流れ、料金設計の考え方

「本記事の内容をまとめたPDF」及び「再生医療導入医療機関リスト」を、記事の最後からダウンロード(こちら)いただけます。参考資料としてご活用ください。

目次

PRPによるAGA治療の導入が注目される背景と根拠

PRPによるAGA治療の導入を判断するうえで、最初に押さえたいのは「なぜAGA・薄毛治療に使われるのか」と「臨床でどこまで分かっているのか」です。基礎研究で示された作用機序と、患者での発毛効果は分けて整理します。

PRPのAGA治療は美容クリニックの新たな選択肢

PRPによるAGA治療は、美容クリニックがAGA・薄毛治療の領域へ新たに参入する際や、既存のAGA治療メニューを広げる際の選択肢になり得ます。

AGA治療では、フィナステリドやデュタステリドの内服、ミノキシジルの外用などの薬物療法が広く用いられています。そこにPRPを用いた治療を加えることで、患者の状態や希望に応じて提案できる治療の幅を広げることができます。

PRP再生医療を用いたAGA治療の位置づけと美容クリニックでの活用イメージ

一方で、「再生医療」という名称だけで患者に過度な期待を持たせることは避ける必要があります。PRPによるAGA治療を導入する際は、作用機序や現在のエビデンス、既存のAGA治療との位置づけまで正確に説明できる体制を整えることが重要です。

PRPの作用機序と薄毛治療のエビデンス

PRPがAGA・薄毛治療に活用される背景には、血小板から放出される成長因子が、毛包や毛乳頭細胞に働きかけると考えられていることがあります。

PRPは、採血した血液を遠心分離し、血小板を濃縮した血漿です。血小板が活性化すると、PDGF(血小板由来成長因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、TGF-β、EGF、IGF-1などの成長因子が放出されます。これらの成長因子によって、毛乳頭細胞の増殖、毛包周囲の血管新生、成長期(アナゲン)の延長などが起こる可能性が研究されています。

PRPがAGA治療に活用される作用機序と毛乳頭細胞・血管新生・毛周期への関与

代表的な基礎研究として、Liらが2012年に報告した研究があります。活性化したPRPがヒト毛乳頭細胞の増殖を促し、細胞の増殖や生存に関わるERKやAktというシグナルを活性化したこと、さらにマウスへの注射では休止期から成長期への移行が早まったことが示されています(Li ZJ, et al. Dermatol Surg 2012;38:1040-1046)。

ただし、この研究は培養細胞と動物を対象としたものです。実際の患者にPRPを投与した場合の効果を、そのまま示すものではありません。作用機序については研究の土台がある一方で、導入を判断する際には臨床試験の結果もあわせて確認する必要があります。

臨床研究では、PRPによる薄毛治療について、プラセボと比べて毛髪密度の増加を示した報告があります。

2024年に発表されたKielingらのメタ解析では、AGAを対象とした14件のランダム化比較試験、431例を分析し、PRPはプラセボと比べて、毛髪密度が1cm²あたり平均27.55本多く増加したと報告されています。一方で、毛髪の太さについては有意な差が示されませんでした。重篤な有害事象は報告されず、主な有害事象は注射部位の一時的な痛みでした(Kieling L, et al. An Bras Dermatol 2024;99(6):847-862)。

一方で、このメタ解析では研究間の異質性が高く、エビデンスの質は低いと評価されています。PRPの調製方法、注入量、施術回数、観察期間などが研究ごとに異なり、長期的な効果についても十分に検証されていません。

2023年のZhangらのメタ解析でも、3カ月と6カ月の時点で毛髪密度はプラセボより増加したものの、毛髪数や毛の太さでは有意差が示されませんでした(Zhang X, et al. J Cutan Med Surg 2023)。

医療機関が導入を検討する際は、「PRPによる毛髪密度の増加を示す臨床データはある一方で、治療方法が標準化されておらず、長期的な効果については検証途上である」という点を押さえておくことが重要です。

PRPによるAGA治療の臨床エビデンスと研究上の限界をまとめた図解

ガイドライン上の位置づけと患者説明

PRPによるAGA治療を導入する際は、日本皮膚科学会のガイドラインにおける位置づけも確認しておく必要があります。

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、PRPを含む「成長因子導入および細胞移植療法」は推奨度C2に分類されています。臨床試験の多くが限られた施設で行われており、有効性の検証が十分ではないことや、再生医療等安全性確保法などの法規に則った実施が必要であることが理由として挙げられています。一方で、同ガイドラインでは「今後が期待される治療法」とも記載されています。

同ガイドラインでは、フィナステリド内服(男性)、デュタステリド内服(男性)、ミノキシジル外用は推奨度Aです。そのため、PRPを既存の薬物療法に一律に置き換える治療として考えるのではなく、患者の状態や希望に応じて検討する追加の選択肢として位置づけることが適切です。なお、2026年9月時点で、男性型・女性型脱毛症診療ガイドラインの改訂版は確認できていません。

患者へ説明する際も、現在分かっていることと、まだ十分に検証されていないことを分けて伝えることが重要です。「毛髪密度の増加を示した研究がある」「毛包や毛乳頭細胞への作用が研究されている」といったエビデンスを示しながら、治療効果には個人差があることや、長期的な効果については検証途上であることもあわせて説明します。

表現としては、「発毛が期待される」「AGA治療の選択肢の一つ」といった、現在のエビデンスに沿った伝え方が適しています。一方で、「必ず発毛する」「AGAが治る」「薬より効果が高い」など、効果や優位性を断定する表現は避ける必要があります。

避けたい表現適切な伝え方の例
必ず発毛する発毛が期待される治療です
AGAが治るAGA治療の選択肢の一つです
薬より効果が高い内服薬・外用薬との併用も検討できます
薬剤を混ぜると効果が上がる治療内容は患者の状態に応じて医師が判断します

PRPのAGA治療を導入している医療機関の実例

PRPによるAGA・薄毛治療は、すでに複数の美容クリニックやAGA専門クリニックで提供されています。公開情報を見ると、PRPだけを用いる治療、内服薬・外用薬との併用、皮膚再生治療との同時展開、他の製剤との組み合わせなど、医療機関によって治療設計が異なります。

2026年9月に各医療機関の公式サイトで確認できた主な事例は、以下のとおりです。

医療機関名(HP)公開されている主な内容患者説明書(e-再生医療掲載)
青山エルクリニック「自己多血小板血漿(PRP)を用いた薄毛治療」(第三種)を提供。PRP単独を基本とし、必要に応じて内服薬・外用薬を処方。3カ月おきに3回以上を推奨し、その後は半年に1回程度の維持治療を案内。顔のPRP治療も提供資料1
フォーシーズンズ肌再生美容クリニック「PRPを用いた育毛を目的とした再生医療」と「PRPを用いた皮膚の再生を目的とした再生医療」の両方を提供資料1
大阪AGA加藤クリニック梅田院・難波院でPRP毛髪再生医療を提供。2〜3カ月ごと、または月1回の施術を案内し、内服薬との併用も行っている資料1
銀座よしえクリニック細胞加工施設で調製したPRPに、ヒアルロン酸・ビタミン・アミノ酸をベースにした製剤を組み合わせたメニューを提供資料1

PRP単独を中心に設計する医療機関もあれば、既存のAGA治療と組み合わせる医療機関、PRP皮膚再生治療と並行して提供する美容クリニックもあります。自院がすでに提供している治療や、今後どのような患者層へAGA治療を提案したいかによって、適した形は変わります。

また、他院の事例は治療メニューを検討する際の参考にはなりますが、そのまま自院へ当てはめられるとは限りません。使用するPRPキット、治療内容、既存メニューとの組み合わせ、院内の運用体制まで含めて、自院に合った治療設計を行うことが重要です。

最新の提供計画の届出状況については、厚生労働省のe-再生医療でも確認できます。

PRPによるAGA治療の導入で考えたい治療設計

PRPによるAGA治療を導入する際は、治療そのものの流れだけでなく、施術回数や安全性、既存の内服薬・外用薬との併用、PRP単独療法とカクテル療法の違いまで含めて設計する必要があります。

PRP頭皮注射の流れ・回数・安全性

PRPによるAGA治療を導入する際は、施術方法だけでなく、どのような患者に治療を提案するかという考え方も院内で整理しておく必要があります。PRPはすべてのAGA患者に一律に提案する治療ではなく、患者の状態や現在受けている治療、治療に対する希望などを確認したうえで、医師が適応を判断します。

特に、内服薬や外用薬など既存のAGA治療を受けている患者にPRPを追加するのか、既存治療とは異なる選択肢を希望する患者に提案するのかによって、治療の位置づけや説明内容も変わります。

導入時には、対象とする患者像、既存治療との組み合わせ、患者への説明方法まで含めて治療方針を整理し、その内容と提供計画に矛盾がないようにしておきます。

PRPによる薄毛治療の一般的な流れは、以下のとおりです。

  • 診察・頭皮の状態確認と、治療内容・リスクの説明と同意
  • 患者から採血する
  • PRPキットと遠心分離機を用いてPRPを調製する
  • 薄毛が気になる部位の頭皮へ注入する
  • 一定の間隔をあけて複数回施術し、経過を確認する
PRP頭皮注射の診察・採血・調製・注入・経過確認の流れと安全性

流れ自体はシンプルですが、採血量、調製方法、投与量、注入方法は、使用するPRPキットと提出する提供計画によって異なります。たとえば、キットによって必要な採血量や得られるPRPの量・濃度が変わり、それが1回で注入できる範囲や施術時間にも影響します。

そのため、特定の方法だけを「標準的な治療」と断定することはできません。導入時には、自院で使用するキットの仕様をもとに、採血から注入までの手順や所要時間、担当するスタッフまで具体的に決めておくことが重要です。院内の流れを整理しておくことで、患者への説明や予約枠の設計もしやすくなります。

治療回数と間隔についても、一律の標準的なプロトコルは定まっていません。提供計画で定めた内容と医師の判断に基づき、医療機関ごとに設定します。

論文で用いられているプロトコルもさまざまです。前述のメタ解析では、月1回や週1回の間隔で3〜5回、3〜6カ月かけて施術する研究が多く含まれていました。治療プロトコルを提案したStevensらのレビューでは、最初の3カ月は月1回、その後は3カ月ごとに施術し、1年目に計6回、以降は半年ごとの追加施術という例が示されています(Stevens J, et al. Int J Womens Dermatol 2018;5(1):46-51)。

国内の医療機関の公開情報を見ても、「3カ月おきに3回以上、その後は半年に1回程度の維持」「2〜3カ月ごと、または月1回」など幅があります。効果の持続期間が十分に分かっていない以上、初期治療と、その後の維持治療をどのように組み合わせるかも、メニュー設計のポイントです。

安全性については、PRPは患者自身の血液を用いるため、他人由来の材料を使用する治療と比べて、アレルギーや拒絶反応の懸念は小さいと考えられています。ただし、有害事象がないわけではありません。

メタ解析で報告されている主な有害事象は、注射部位の痛み、腫れ、発赤、内出血などの一時的なものです。重篤な有害事象の報告は見られませんでしたが、研究の多くは対象者数が少なく、観察期間も半年前後と短いため、長期の安全性は十分に検証されていません。

医療機関としては、採血と注入に伴うリスクの説明、感染対策、施術後の注意事項の案内、有害事象が起きた場合の対応手順まで事前に整理しておく必要があります。再生医療等安全性確保法では、疾病等が発生した場合の報告も求められています。

内服薬・外用薬との併用とカクテル療法

PRP療法は、ミノキシジルの外用やフィナステリドの内服など、既存のAGA治療と組み合わせて提供されることがあります。PRPを既存治療の代わりとして考えるのではなく、患者の状態や希望に応じて併用を検討できる治療として位置づけるのが基本です。

PRPと内服薬・外用薬の併用およびPRP単独療法とカクテル療法の違い

併用に関する研究として、2024年に発表されたYaoらのメタ解析があります。ランダム化比較試験5件を分析した結果、ミノキシジル単独と比べて、ミノキシジルにPRPを加えた群では、3カ月時点の毛髪密度が平均21.81本多く増加したと報告されています。有害事象のリスクには差がありませんでした(Yao et al. PLOS ONE 2024;19(8):e0308986)。

一方で、論文の著者らはエビデンスの質を非常に低いと評価しており、臨床的な意義については十分に明らかになっていません。そのため、PRPを加えれば必ず効果が高まると説明するのではなく、現在分かっている研究結果の範囲で患者に伝えることが重要です。

どの薬剤とどのように組み合わせるかは、患者ごとに医師が判断する領域です。医療機関としては、あらかじめ想定する併用パターンや説明方法、料金の見せ方を整理しておくことで、院内での案内を統一しやすくなります。

また、PRPのみを頭皮へ注入する「PRP単独療法」と、PRPに薬剤や成長因子製剤などを組み合わせる「カクテル療法」では、治療内容だけでなく、提供計画上の整理も異なる可能性があります。

カクテル療法では、使用する薬剤、混合方法、投与方法によって、提供計画に記載する内容や、安全性・有効性を説明するための資料、認定再生医療等委員会の審査で求められる資料が変わることがあります。PRPの調製を細胞加工施設で行うかどうかによっても、手続きの整理は異なります。

また、薬剤を組み合わせることで治療効果が必ず高まるとも言えません。患者への説明でも、「カクテル療法だから効果が高い」といった伝え方は避け、治療内容ごとに安全性や有効性を確認する必要があります。PRPにFGFを加える治療については、PRP×FGF添加治療の効果・リスクと導入時の注意点で詳しく整理しています。

PRPによるAGA治療の導入に必要な体制と手続き

PRPによるAGA治療を自院で提供するには、治療内容を決めるだけでなく、PRP皮膚再生治療との関係、使用するPRPキット、再生医療等提供計画の進め方、院内の運用体制、料金設計まで整理しておく必要があります。

PRP皮膚再生との同時導入とAGA参入

PRP皮膚再生治療とPRPによるAGA治療を同時に導入すると、一つのPRPという治療分野を、肌と頭皮の両方へ展開できます。私が導入を支援する現場でも、AGA治療だけを単独で導入するより、PRP皮膚再生治療と同時に導入するケースのほうが多いと感じています。

PRP皮膚再生治療とAGA治療を同時導入するメリットと共通する院内運用

同時導入のメリットの一つは、院内運用の一部を共通化しやすいことです。説明と同意の取得、採血、PRPの調製、記録管理、提供開始後の定期報告など、皮膚再生とAGA治療で共通する業務があります。すでにPRP皮膚再生治療を提供しているクリニックであれば、これまでの運用経験やスタッフの習熟を、AGA治療の立ち上げにも生かせる可能性があります。

美容クリニックにとってPRPによるAGA治療は、AGA・薄毛治療の領域へ新たに参入する際の選択肢にもなります。AGA治療は内服薬や外用薬を中心に多くの医療機関で提供されていますが、そこに再生医療の手続きを経たPRP治療を加えることで、「再生医療を活用したAGA治療」という特徴を持たせることができます。

私が導入支援を行うなかでも、「PRP」や「再生医療」という名称は、患者から先進的な治療として関心を持たれやすく、美容クリニックの治療メニューとしても訴求しやすいと感じています。ただし、「再生医療」という言葉の印象だけで治療効果への過度な期待を持たせないよう、現在分かっているエビデンスや治療の位置づけを正確に説明することが重要です。

一方で、PRP皮膚再生治療とAGA治療では、対象、投与部位、治療目的、投与方法が異なります。すでに皮膚再生の提供計画を提出していても、そのままAGA治療へ流用できるとは限らず、新たな計画の提出や変更手続きが必要になる場合があります。

また、治療メニューとして差別化できることと、集患や収益が保証されることは別です。自院の診療方針や既存メニューとの相性、患者への説明方法まで含めて設計することが重要です。

PRPキット選定と提供計画の進め方

PRPによるAGA治療の導入では、どのPRPキットを使用するかが、治療内容だけでなく、提供計画の作成や導入後の院内運用にも関わります。そのため、価格だけで決めるのではなく、自院で想定する治療内容や運用方法まで含めて選定することが重要です。

PRPキット選定・再生医療等提供計画・AGA治療の料金設計の要点

PRPキットを選ぶ際は、主に次の点を確認します。

  • AGA・薄毛治療に使用されている実績があるか
  • PRPの調製方法と、得られるPRPの特徴
  • 必要な採血量
  • 操作の手間や所要時間
  • 提供計画の申請に使用された実績があるか
  • 委員会審査や提供計画の作成に必要な資料をメーカーから得られるか

キットによって、必要な採血量や得られるPRPの性質、1回の治療で使用できる量などが異なります。それによって、患者の負担、施術時間、スタッフの作業内容にも違いが生じます。

PRP皮膚再生治療とAGA治療を同時に導入する場合は、両方の治療で同じキットを使用できるかどうかも検討材料になります。キット選びの基本的な考え方については、PRPキットの選び方とフリーズドライとの違いでも詳しく解説しています。

使用するキットと治療内容が決まったら、再生医療等安全性確保法に基づく提供計画の手続きへ進みます。

PRPによるAGA治療は、再生医療等提供計画を作成し、認定再生医療等委員会の審査を経て、地方厚生局へ提出したうえで提供します。

導入から治療開始までの基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 導入する治療内容を整理する
  2. 使用するPRPキットを選定する
  3. 再生医療等提供計画と関連書類を作成する
  4. 認定再生医療等委員会の審査を受ける
  5. 地方厚生局へ提供計画を提出する
  6. 必要な手続きの完了後に治療を開始する

この流れのなかで、特に重要なのが最初の「治療内容の整理」です。PRP単独療法にするのか、薬剤等を組み合わせるのか、PRP皮膚再生治療と計画をどのように分けるのかといった判断によって、作成する書類や審査で求められる資料も変わります。

必要書類、委員会の選び方、申請期間、費用などは、治療内容や医療機関の体制によって異なります。本記事では概要までとし、具体的な進め方については医療機関ごとに個別に確認する必要があります。

PRP薄毛治療の料金事例とコース設計の考え方

PRPによる薄毛治療を導入する際は、治療内容だけでなく、患者にどのような料金体系で提供するかもあらかじめ設計しておく必要があります。

実際にPRPによるAGA・薄毛治療を提供している医療機関では、1回ごとの料金だけでなく、複数回のコースを設定している例もあります。2026年9月に各医療機関の公式サイトで確認した料金例は、以下のとおりです。

医療機関公開されている料金の例(税込)
表参道・青山エルクリニックPRP育毛治療2kit 189,000円/3kit 231,000円(別途、事前検査33,000円)
フォーシーズンズ肌再生美容クリニック1回121,000円/5回574,800円/10回1,125,300円
加藤AGAクリニック1回149,000円/3回409,000円/5回645,000円
銀座よしえクリニック(PRP+製剤の組み合わせ)初回5回コース423,500円

※2026年9月に各医療機関の公式サイトで確認した料金です。最新の料金は各公式サイトをご確認ください。

公開されている事例を見ると、1回あたりの料金だけでも幅があり、複数回コースでは治療回数によって総額も大きく変わります。ただし、これらを全国一律の相場として捉えるのは適切ではありません。

価格に差が生じる背景には、使用するPRPキット、採血量、PRPの調製方法、1回に注入する範囲、薬剤や製剤を組み合わせるかどうか、事前検査の有無などがあります。

そのため、自院で料金を決める際は、他院の価格だけを基準にするのではなく、使用するキットや治療内容、必要な検査、スタッフの運用、1回あたりの原価などを踏まえて設計することが重要です。

また、PRPによるAGA治療は複数回の施術を前提とするケースもあるため、1回ごとの料金だけでなく、初期治療と維持治療をどのように組み合わせるかも考えておきます。

たとえば、初期治療として複数回のコースを設定し、その後は患者の状態を確認しながら維持治療を提案するなど、治療計画と料金体系を連動させることで、患者にも全体像を説明しやすくなります。

内服薬や外用薬を併用する場合は、それらを含めた費用総額も患者が把握できるようにしておくことが大切です。

PRPによるAGA治療の導入を検討する際のまとめ

PRPによるAGA治療は、美容クリニックがAGA・薄毛治療の領域へ新たに参入する際や、既存のAGA治療メニューを広げる際の選択肢になり得ます。臨床研究では毛髪密度の増加を示した報告がある一方で、治療方法の標準化や長期的な効果については検証途上です。そのため、既存の薬物療法に置き換えるのではなく、患者の状態や希望に応じて検討する追加の選択肢として位置づけることが重要です。

また、再生医療は治療開始後も定期報告や変更手続きなどの継続的な対応が必要です。導入を検討する際は、治療内容だけでなく、開始後の院内運用まで含めて設計しておきましょう。定期報告の期限や提出方法については、再生医療の定期報告の期限・様式・提出方法で解説しています。

グローアップコンサルティング事務所では、PRPによるAGA治療導入の無料相談を承っています。

  • 自院でPRPによるAGA治療を導入できるか
  • PRP皮膚再生治療と同時に導入できるか
  • どのPRPキットが自院の治療方針に合うか
  • PRP単独療法とカクテル療法のどちらを選ぶべきか
  • 再生医療等提供計画をどのように進めるか
  • 導入後の料金や治療コースをどう設計するか

PRPによるAGA治療の導入を具体的に検討されている場合は、「PRPによるAGA治療導入の無料相談」からご相談ください。

本記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。制度や料金等は変更される場合がありますので、最新情報は厚生労働省、e-再生医療、各認定再生医療等委員会、各医療機関の公式情報をご確認ください。

記事のPDFダウンロードはこちら

本記事の内容を、院内共有・検討用のPDF資料としてまとめています。

再生医療導入の検討や、提供計画書作成時の参考資料としてご活用ください。

※迷惑フォルダに振り分けられる場合がありますので、ご確認ください。

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泉山秀和
再生医療導入コンサルタント、(厚労省認定)再生医療審査委員会委員メンバー
再生医療導入の専門コンサルタントとして、PRP療法・幹細胞治療・免疫細胞療法など、全国で延べ150件以上の申請サポートに携わり、医療機関の皆様をご支援しております。
新たな治療法の導入にも全力で取り組んでおり、難易度の高い案件ほど、当センターの幅を広げる好機と考えております。
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